vendredi 2 novembre 2007

「その日」 三題



その日、私は講義を受けていた。少し余裕ができたのか、気分転換か、外の方に目をやる。教室のガラス窓からの眺めが歪んで見え、小学校の頃を思い出す。木の枠の引き戸になっているガラス窓の1ヶ所が割れて寒気が流れ込んでくるところがある。それを直そうという気配は、2週間経つが全くない。それらすべてが醸し出す雰囲気が何とも言えずよい。

その日、講義に向かうため街を歩いていた。目を左にやると澄んだ朝の空気の中、パンテオンがどっしり構えている。通りを渡る時、右を見ると遠くにエッフェル塔の頭の部分が見える。その瞬間、この朝が非常に貴重なものに思えてきた。ショーウィンドウも新鮮に見え始める。何か語りかけてくるものはないかと感覚を研ぎ澄ましているようであった。このような移動の時間に何かが訪れることが多いのだ。

その日、フランス語の講義が始まるのを着席して待っていた。時間が過ぎでも始る気配はない。その時、女子学生が戻ってきてドイツ訛りのフランス語でこう叫んだ。「先生が病気で休講という張り紙があります」。休講がこんなに嬉しいものだったとは、トンと忘れていた。出口にいたイタリアからの留学生はこれから観光にでも出かけましょうか、というような笑顔で挨拶していた。



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