samedi 15 décembre 2007

隠居の視点



1週間ほどの不在の後、再びパリに戻ることになった。パリの景色が現実感を取り戻し始めている。この間、毎日 (毎晩が多かったが) いろいろな方にお会いし、積もる話をする機会に恵まれた。仕事をしていた時とは明らかに違い、気分がリラックスしているのと話題が広がり、あるところでは深まりも見せている。いずれの日も、これまでにはない、非常に気持ちのよい、味のある交換になった。ある若い方からは、顔から憑き物が落ちたようですね、などと言われた。

その存在をはっきりと見た記憶もなければどういうものかもよくはわからないが、いわゆる仕事というものを辞め、悠々自適を決め込んでいる御隠居の持つ視点のようなものが少しわかりかけているのだろうか。その囚われのない立場から出てくる話題の豊富さやその話題に身を委ねようとするゆったりとした心持、囚われのない立場だからこそ見えてくるもの、言えることの自在さのようなものを一瞬感じることができた。また、「機微」 という言葉も頭に浮かび、その意味が少し膨らんできているようにも感じた。この世に生きながら、文字通り微妙なところ、ある場合にはどうでもよいことに目をやり、そこに隠れているものや微かに見えてくるズレとか心の揺らぎ (痛みや悦び) のようなものを縦横に語り合う。このような時間がまさに至福をもたらしてくれる宝物のように感じられようとは、、、想像だにできなかった。大切にしたいものである。



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