vendredi 18 janvier 2008

ある年賀状



昨日届いた年賀状の中にこの絵が添えられてあった。手紙の主は、4-5年前に大学を辞められ、今は一書生として絵に打ち込んでおられる方である。日本の大製薬会社の御曹司と伺っている。これまで研究の上ではご指導をいただいていたが、個人的な交流は全くなかった。しかし、私の退官に至る過程やその後の道が書かれてある記念誌をお送りしてから何かが変わったようだ。その時には便箋4-5枚に及ぶ非常に丁寧なお手紙をいただき、今回もカードの裏表にびっしりと想いが綴られている。

先生は毎週絵の講座に通われ、自らも描かれていて、年賀状の絵は毎週昼食をとっていた三宮のレストラン・エスカルゴをモデルにしたと書かれてある。このレストランは昭和27年に開業、残念ながら昨年9月で閉店になったようである。いかにも実直そうな、この道一筋という様子がその表情や姿勢から窺われる店主ご夫妻の姿に、閉店の寂しさや時の流れが感じられる。そして、それはそのまま来し方を静かに思いながらデザートのレモン・シャーベットを前にしている作者の視線の先にあるものとも重なっているような、そんな印象を与えてくれる。手前に狼のような動物が描かれているのを見て、最初は先生からは予想もできない奇抜な発想かと驚いたが、読んでみるとこれは実際に置かれてあった雉を銜えた狼の剥製とのこと。

不思議な繋がりから拡がった世界を前にして、気分が和やかになっていた。



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